「2014年」
2014年5月8日、国民生活センターより発表された「大学生が儲かる投資話で、平均57万円ものDVDを、サラ金から借金をして購入させられる」相談急増というニュース。「新たに購入者を連れて来ると10万円の収入!」で、被害拡大とか。どこかで聞いたような、またまた登場した学生狙いの「マルチ商法、ネズミ講」の分類に入る手口です。この種のものは春になると、若者が多数集まる空間で広がります。これまで幾度、社会問題になった事か!私はこれを「ワルの定置網漁法」と呼称していますが、ゴールデンウィーク後のちょうど今が一番、地方出の若者が狙われる時期です。現に、友人の某大学教授からも相談が寄せられました。刑事事件になる前に、被害が表面化するのは最大でも5%と私は見ています。友人の大学では学内会議で関係者が対策を話しあう事になったそうですが、これは陣地取りです。ワルの側の勧誘が早いか、大学当局側が追いつけるか?!親や教員より友人の方が大事と思う時期でもあり、マスコミ報道しても、大体、新聞を読まない大学生がまた多く、とは言え、まずは各大学当局の出番でしょう。
6月30日。既に沖縄は梅雨明けしましたが、関東は梅雨真っ最中。むしろ、これからが梅雨本番で、末期の大雨も予想されます。わが事務所は鉄筋の4階建てビルの2階ですが、既に築50年を迎えていて、3日連続で雨が降ろうものなら、何と雨漏りがするのです。まずは天井裏から天井板にポタリ、ポタリが始まり、その箇所は多い時は6か所に上り、天井板の上で貯まった雨水が支えられなくなると、ついにわが部屋に落ちて来ます。良寛様であれば、風情がある!と一句、一首でしょうが、部屋には基本的に紙だらけ、雨に当ると、その後、乾かしても汚くなってしまいます。よって、大雨が降るという事は即ち、大騒動で、これを私は「アメノリスク」と名付けています。安倍政権の経済政策の負の部分の呼称ではなく、わが事務所にとっては、大真面目な現象であるのです。あと3週間、何とか大事にならないで欲しい、雨も連続して3日は降らないで欲しい、しかし現実はゲリラ豪雨とドカ雨はこの時期につきもの!今はただただ一刻も早く、梅雨明けする事を祈るばかりです。
9月25日。秋もたけなわとなりました。まだ猛炎暑の名残りの、ツクツクホウシ蝉が日中は忙しく鳴いています。ずいぶん短くなった日が落ちると、秋の虫の大合唱!異常気象と言われながらも、季節の変化は今年も相変わらです。しかし、この夏は自然災害が一段と目立ちました。台風は次から次へとやって来るわ、その都度、豪雨をもたらし、土砂崩れは各地で発生。東日本は猛炎暑。西日本はむしろ、日照不足。わが郷里の岡山県は平年の半分以下と聞きました。野菜も果物も高値安定状態となって、お彼岸を過ぎ過ぎ、ようやく下がりつつありますか。いやはや、とんでもない夏だったように思います。
そして大騒動はもう一つ。デング熱蚊騒動です。実は私も出席予定していたイベントが延期となり、期待していたものだけに、残念な結果になってしまいました。それは「日本学生支援機構」という文科省系団体が企画していたもので、全国の大学教育関係者を約500人集めて実施するという大イベントです。タイトルは「平成26年度 学生生活にかかるリスクの把握と対応に関するセミナ― ~悪質商法の被害の現状と対策~」 というものでした。
これに、私は信州大学客員教授の立場で講師として、信州大学の消費者問題への取り組みと今後について報告する予定でした。タイトルは「信州大学 消費者問題研究室を設置して見えるもの~定置網に引っ掛かる大学生をどうするか」としていました。その後の議論にも加わる予定でした。それが吹っ飛んでしまったのです。時期も場所もタイミングが悪すぎました。9月12日開催予定で、場所は代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターです。この場所はデング熱騒動発祥地とも言える代々木公園のすぐ隣にあります。
ちょうど感染者が日に日に拡大する状況下でしたから、止むを得ない判断だったろうと思いますが、学校教育現場では1年の計画はほぼ決まっているものですから、すぐさま1、2カ月後で決定とはなりません。早くて冬休み期間中。その次は春休み中。しかし、そこには入学試験、卒業式、入学式があり、何よりも来年度の新入学生を対象としたもの、とも言える今回のイベントです。それこそタイミングがずれると効果が減ってしまいます。
実は「悪徳商法に狙われる高・大学生」というテーマで、私はこれまで地方自治体の、特に消費生活センターや県民生活課等主催で、学校教職員や教員の方々に講演を長年に亘り、やって来た歴史があります。それを更に拡大、拡充した教育現場で、被害者予備軍である学生と日頃接触し、教育する立場の関係者に、悪徳商法の実態と対策等について、話す、議論するという場は今、欲しいものの筆頭の一つです。
幸い、学生支援機構の関係者も、事の重要性については良く良くご承知であって、今、延期されたイベントをいつにするか、調整にご奮闘中と聞いています。この企画はぜひ実現したいものです。同時に事は1回で終わりにしてはならないと思います。若者の被害が後を絶たない中、その効果が実際に上がるまで、息の長い取り組みが必要でありましょう。また、今や悪徳商法被害地域は都市、地方を問いません。むしろ、素朴な若者が多い(と思われる)地方重視の対策も必要であるわけです。全国を8~10ブロックに分けて、同様のイベントが実施できると成果は大きなものとなるでしょう。
⇒2015年1月27日(火)に、改めて開催される事になりました。(「日本学生支援機構」のHPを参照ください)
⇒2015年4月2日。同上イベントは、全国の大学、短大等教育関係者が320人余集まり、盛大に開催されました。他の講師陣の方々が、それぞれの立場から問題点等に言及され、聴講された皆さんからのアンケート結果によれば概ね、当初の目的は果たされたように思います。これが、全国的に拡大され、更に各地で新たな展開がなされる事を期待したいと思います。
「2015年」
2015年1月23日。平成も27年に突入です。今年は「阪神淡路大震災」から丸30年。「サリン事件」からも丸30年。悪徳商法の世界では、豊田商事事件からも丸30年になります。1月18日(日)付で、日本経済新聞が「事件は問う・戦後70年~悪質商法の源流ー豊田商事事件」が特集記事を掲載してくれましたが、この記事にもある通り、高齢者が集中的に、ワルに狙われる時代が到来してしまったと言える大事件から、既に30年が経過した事に何とも言えぬ感慨を覚えます。
少なくとも、あれから30年経っても、悪徳商法は今なおまん延し、高齢者の被害は後を絶たないという事に尽きます。その中で、わが「悪徳商法被害者対策委員会」の正式設立は、1975(昭和50)年2月13日に報道発表しましたから、正真正銘、丸40年になった事になります。既に活動は集大成の時期に入っていますが、今年もまた、同じ事の繰り返しも続くのでありましょう。
「2016年」
時は流れ、2016年となりました。平成はもう28年です。
そして春3月です。東京の桜は3月21日に開花しました。まだ寒い日があり、春爛漫の雰囲気ではありませんが、桜が満開になれば、春うらら~!という日も増えるでしょう。
しかし、また春がやって来たという事は、ワルたちが蠢くという事でもあります。何よりも、進学や就職で若者の環境が大きく変化する時期です。特に、都会には多数の学生が集中しますが、そこに定置網を設置して、待ち構える悪徳商法業者が存在する事を忘れてはなりません。マルチ商法業者などは、その典型です。 2016年3月3日、東京都はマルチ商法業者に対し、特定商取引法に基づいて、9カ月間の業務停止という行政処分を下しました。内容は「支払い能力のない大学生に、高額のマイタケ健康食品の購入契約を結ばせたというもの」で、「良いバイトがある」と声を掛け「3,4人紹介すれば、後は何もしなくてもお金が入って来る」とウソを言い、登録料、マイタケ代は約7万円だとか。マルチ商法は今なお、進行中であるという事です。しかも、この手の業者は1社や2社ではない事実に注目しなければなりません。
そのような環境の中、私は今年もまた警戒を呼び掛けて行きますが、発信する場が一つ、なくなるのが残念です。
それは2009年4月から2015年3月まで、私は「信州大学」の「客員教授」を拝命し、ここ1年は「同大 イノベーション研究支援センター」の「客員研究員」でしたが、このセンターが、来る3月31日で、機構改革により廃止される事が決定したのです。2013年1月からは、「消費者問題研究室」が設置され、私は室長に就任したのですが、これも母体組織がなくなりますので、必然的に閉鎖です。
2009年以前から、初代イノベーション研究支援センター所長であり、プロモーターであった樋口 一清前・信州大学大学院教授(現・法政大学大学院教授・内閣府消費者委員会委員)と共に、結構、消費者問題について、学生、院生の皆さんに語り、行動し、世間にもいろいろと発信して来たつもりですが、止むを得ません。
私は元々の「悪徳商法被害者対策委員会」に戻ります。ただ、これで信州大学との縁が全くなくなったとは思いませんし、これからもまた臨時講座に出向く事があると考えています。長野県内の市町村にも、これまでと同様に、要請があれば、講演等でおじゃまします。
でも、もったいないと思うのは、教育現場で得て来た知識、経験が、そのまま時間の経過と共に消滅してしまう事です。それを伝える場、教育現場がどこかにないものか、そういう場を提供してもらえるならば、これほど嬉しい事はないのですが・・。 (2016年3月25日)
「2016年」後半から「2019年」
マルチ商法がまた首都圏の大学(複数校を確認)に蔓延、拡大中です。このため、関係者に警戒を呼び掛けると共に、マスコミを通じても、2016年10月16日(日)付の東京新聞「談論誘発」のページに執筆もしました。
また、それと共に、目下の最大テーマになっているのが、2017年の国会で政府が、成立を目指していた「民法改正法案」に伴う問題です。
法務省はこの中で、成人年齢をこれまでの20歳から18歳に引き下げようとしています。既に選挙権は引き下げられていますが、これと同様に世界の趨勢に合わせるというのですが、実は困った事があります。
「民法第4条」は、「親権者の同意のない未成年の契約の取り消し権」が設定されていて、これが悪徳商法の世界では、未成年者の被害未然防止の、最後の砦とこれまでなって来ていたのです。
ただでさえ、大学生を定置網で待ち構え、これまで大量に被害を及ぼしたワル達です。中でもマルチ商法は、現在でも大学生を大きな獲物にしていますが、それが今度は高校のキャンパスに広がる事は、火を見るより明らかな事です。 大学においても、ますます広がる事が必至であり、その実効ある対策が急務です。、 その対策について、現在、内閣府の「消費者委員会」が諮問を受け検討していました。
私も2016年12月6日の同委員会・「成年年齢引下げ対応検討ワーキンググループ」に出席して、意見を述べました。
「結論」
〇民法改正論議が「民法4条」の成年を現行の20歳から18歳に引き下げようとする案があるが、長年、悪徳商法による若年者の被害未然防止、業者の追及に携わってきた立場からすると、このままでは18歳段階での被害急増が目に見えており、民法4条の同効力を残す対策が急務であると考える。
これまでこの民法4条は、18歳、19歳を守る最後の砦になってきた。これが崩れると、特にマルチ商法被害は、その特徴もあって、ただでさえ現在、大学キャンパス内でマルチ商法被害が拡大中であるうえに、今後、高校のキャンパス内でマルチ商法蔓延が極めて懸念される等、教育現場や社会に混乱を招きかねない。従って、その蔓延を封ずる法的手当て、現行法の運用強化、消費者啓発・教育の更なる充実が進まないうちは、危険極まりないと考える。
少なくとも、「特定商取引法」の規制対象となっている取引形態については、同法を改正して、これまで通り、親権者の同意のない20歳未満への勧誘は禁止されるべきである。中でも、マルチ商法については、既に大学キャンパス内で蔓延、被害の拡大が目立ち、学業を放棄する、あるいはせざるを得ない被害もある事から、大学生に対する勧誘は即刻禁止されるべきであると考える。
一方、民法の特例法として制定された「消費者契約法」は、現在有効に機能していて、国民の間に定着してきている。その立法趣旨、背景を考慮するならば、同法に、現行民法4条の効力を付加する改正を行うべきであると考える。(以下・略)
2017年1月10日、同委員会は、成人年齢を18歳に引き下げた場合の消費者被害防止・救済策として、「消費者契約法」を改正して、判断力不足等につけ込み、必要のない契約をさせた場合の契約取消権を導入する事等を、消費者庁に提言しました。
また、18歳、19歳のみではなく、22歳までを「若年成人」として、制度整備、法執行の強化、消費者教育の充実、相談体制の強化等も求めています。
今後、これを受けた消費者庁が、立法作業や行政施策を進めるという段取りになるのですが、1月26日になって、政府はこの「民法改正法案」の今国会成立を断念したというニュースが流れました。
「テロ等準備罪(共謀罪)」法案の成立を優先するためという事のようです。
よって、民法改正は今秋以降、場合によっては1年後の通常国会において成立という事ですが、内閣府消費者委員会が提言した施策は、現時点でもできる事が多々あります。それを消費者庁はできる事から急ぎ、実現すべきでしょう。私たちは民間の消費者グループですが、できる事があれば、大いに協力して行きたいと思っています。
2017年秋
2017.09.21
この夏も自然の猛威を感じる事が大でした。台風襲来、豪雨、水害・・・等々、ゲリラ豪雨と名が付くという事は、今やどこでも自然災害が起こり得るという事でしょう。50年に一度の、記録的大雨などという表現!それが毎度の事になりつつあります。では、50年に一度ではないではないか!と思ってしまいます。
一方、人間による人的災害とも言える、悪徳商法は相変わらず、日本列島のどこでも蔓延中です。
背景に、超低金利が長く続いている事が間違いなくあります。特に、利殖を謳うそれは、今や「わが世の春」どころか、50年に一度の稼ぎ時になっています。被害に遭って、後に気が付いた高齢者が語ります。「日頃から、注意していたのですがねえ。当世の金利があまりに低いからねえ・・」「では、最低どのくらいの金利がついていれば、もう少し慎重になられましたかね?」「そうだねえ。せめて年1%は欲しいよねえ。」
2017年9月20日現在の、銀行預金「1年もの定期預金」は、金額にほぼ関係なく、年0.010%です。100万円で、たったの100円です。これから地方税を20%引かれて、結局80円です。
かつて、年5%は当たり前。法定金利も5%だったのに。バブル経済時期には、郵貯の定額貯金は、半年複利の10年で、元金共で2倍だったのに。夢のまた夢!!
ワルはこの環境を逃がししません。
私はこの8月21日から10月16日まで週1回、月曜日に朝日新聞朝刊「Reライフ」欄で、「詐欺の手口とは」を執筆しました。ご笑覧ください。字数に限りがあり、8回では、全てを書き切れません。
敬老会だけではなく。各種のイベントで、悪徳商法について、ぜひ私の話を聞いて欲しく思います。
「2018年」平成も30年。来年5月1日には、この元号も変わります。下の行、詰める。
2018.02.13
本日、2月13日は私たちの記念日です。
1975年2月13日。1年余の前身活動を経て、「悪徳商法被害者対策委員会」を結成し、記者会見をして発表しました。以来、まる43年経過した事になります。
しかし・・・、今なお、悪徳商法は花盛りです。
この1月、早くも「はれのひ」問題や仮想通貨問題がクローズアップされています。
中でも昨年末に、事実上の倒産報道が流れ、国会でも昨年の予算委から問題が再三再四、取上げられていた「ジャパンライフ」問題は、私と因縁めいたものがあり、看過できません。
この業者の会長とは私は1975年5月13日の衆議院物価問題等特別委において、参考人として対峙した事があるのです。私は被害者・消費者側。一方は、当時、わが国における元祖3大マルチ商法業者の代表3人の一人でした。
その事も含め、ジャパンライフ問題と、目下のマルチ商法状況、成年年齢引下げ問題等も併せて、消費者問題専門誌に執筆したところです。もちろん、今後の課題についても触れています。
この雑誌は活字媒体から、昨年、WEB配信になり、無料でダウンロードできます。下記にご照会ください。「関西消費者協会 消費者情報」で検索してください。
「2019年」
2019年春3月です。今日は3月14日です。
悪徳商法との戦いは今年も続きます。私はかねてより、「刑事摘発に勝る啓発はなし!」と考えています。
どんなにマスコミが大々的にキャンペーンを張り、報道放映しても、警察当局が関係者を刑事摘発し、それこそ家宅捜索や関係者逮捕の場面や報道に勝るインパクトは他にはないという事です。
マスコミもまた、当局の刑事摘発があれば、報道放映できます。摘発前に調査報道する事に、マスコミは最近、元気がないように思うのは私だけでしょうか?
この問題については、また改めて触れたいと思います。(2019年3月14日)